私のキャラクターデザインの方法:ガイド
こんにちは!私の名前はマリアンナ、ヴィクトリア朝時代を舞台としたアイテム探しゲーム「探索者の記録」に登場するキャラクターをデザインしています。
「探索者の記録」に登場するキャラクターの種類は3種類あります。ゲーム本編に登場するNPC、クリーチャー、そしてアバターです。今回のガイドではNPCのデザインの方法についてご紹介します。
NPCとはゲームのライターやデザイナーにその姿を作り出され脚本が与えられた、このゲームの「住人」です。デザインの中でキャラクターの個性を出さなければならないので、NPCを作り上げる時には特に気を遣わなければなりません。
1.キャラクターの理解
あるキャラクターをデザインする時には、まずどのように表現すればいいかを確かめながらスケッチを始めていくことになります。生き生きとしたキャラクターを緻密にデザインするためには、そのキャラクターの背景や性格を知り、キャラクターそのものを把握する必要があります。もし他の人からキャラクター制作を依頼された場合には、キャラクター資料の最初の部分を読みながら、そのキャラクターを頭に思い描き始めます。キャラクターの詳細な資料が提供されている場合には、その生い立ちや特徴からさらに細かいこだわりまでも想像していくことができます。
ちょっとしたアドバイス:キャラクターの資料はいつも最後まできちんと読みましょう。キャラクター制作に役に立つ情報はキャラクター資料の最後の方にたくさん書かれており、その細かい情報はどれも非常に大切な物です。
提供されたキャラクター資料に、さらに自分で参考となる資料を付け足す場合もあります。資料はあらかじめ一カ所にまとめておくと時間を大幅に節約できます。
2.輪郭
私の場合、全体のスケッチの描画は、まずキャラクターにぴったりの輪郭を見つけることから始まります。こうすれば、キャラクターの個性や気分に合わせて、ぴったりのポーズや動きを思いつきやすくなります。
NPCはプレイヤーと直接会話するキャラクターです。ですからプレイヤーに対する視線はとても大切です。頭の傾きを変えることで見た目から受けるキャラクターの印象を表現できます。上から下を見下ろすようにすれば傲慢さや自信を、見上げるようにすれば不思議さや優柔不断さを表現できます。肩を上げたり回したり、腕や脚の位置を変えたり、いろいろな姿勢を取らせたりして、そのキャラクターを表現するためにぴったりのポーズを見つけます。また、キャラクターの動きが硬く無機質にならないように、さまざまな手法を用います。例えば身体の各部分を相対的に別々の方向に向けて回したり傾けたりするコントラポストなどのような手法を使います。
3.ディテール
次に輪郭に肉付けをしていきます。キャラクターを描いていく段階においては、キャラクターそれぞれに一番あったライティングを決めることができ、そしていわゆるキャラクターのデザインを決めることができます。あまり細かくキャラクターを描きすぎないように、小さいキャンバスを使用します。
いくつか用意した候補の中から1つの候補が選ばれたら、そのスケッチにさらにディテールを加えていくことになります。キャラクターの基本的な体格を作り、体型をチェックして、筋肉や骨格を整えます。この段階で、キャラクターの衣装がその時代背景に合っているかどうか、参考資料を確認する必要があります。衣装やアクセサリー、小物のスタイルを考えて楽しむこともできます。
とはいえ、今描いているのはどのようなキャラクターなのかを常に意識しておかなければなりません。キャラクターの普段の生活やいつどこで現れるのかなどを正確に知っておく必要があります。また、描いたキャラクターを後ほどアニメーションさせるのかどうかも確認する必要があるかも知れません。ゲームを作る時には気にしなければならない制約がいくつもあります。例えば「探索者の記録」の場合には、他のウインドウとキャラクターが同時に表示された場合、キャラクターの帽子や身体の一部が欠けて表示されてしまう場合があります。
4.色調、ボリューム、色彩
最終的なスケッチが決定されれば、次に色調やボリューム、色彩を決める作業に入ります。この作業はアーティストごとに方法が異なります。色調から決めていく人もいれば、まずは色彩からという人もいます。私の場合はまず新しいウインドウでキャンバスを開いてビューをグレースケール表示にします。そうすることで色調範囲をリアルタイムで確認できるからです。この設定は「校正設定」で行うことができます。
この段階でキャラクターに使用する色の組み合わせパレットの候補をいくつか用意します。色を決定する場合には、キャラクターの時代背景や描かれるストーリー展開を考える必要があります。例えば、先ほど触れたように「探索者の記録」の時代背景はヴィクトリア朝時代です。そしてストーリーは大抵謎めいたもの、そして時には恐ろしいものであったりもします。作り上げるキャラクターはそのゲームの雰囲気に溶け込んでいなければなりません。
世界を見回せば、本当にさまざまな色の組み合わせが使われています。ただし、私たちは全体として調和した一つのイメージを作り出す必要があり、また理解しやすく、認識しやすい物でなくてはなりません。そのため、使用する色を絞り込む必要があります。
私は大抵、まず大雑把に色を並べて、それから一番うまくいくような色の組み合わせのパレットを考えます。キャラクターはひと目見て、すぐにそれが誰であるかが分かる必要があります。そのために、私は補色どうしの色の組み合わせを使い、暖色と寒色のバランスにこだわっています。色の組み合わせに一定のルールを設けることで、自分が思いも寄らなかった面白いパレットができあがることもあります。例えば、元々暖色系のパレットに寒色を加えたり、逆に暖色系のパレットに入っている寒色を減らしたりしてパレットを作っていきます。このテクニックを使えば、色パレットにメリハリが付き、全体として1つの色に溶け込んでしまわないようにすることができます。
5.光と影
NPCには頭上から角度を付けた、適度な暖かさのある光源を使用しています。また、私はサイドライトを少し加えることで、さらにキャラクターの形状を立体的に浮き立たせています。
6.塗り
色彩とライティングが決定したら、キャラクターに色を乗せていきます。この作業が最高に楽しいと感じられるアーティストもいれば、作業の一つだと考えているアーティストもいます。ここで私が守っているのは単純でありながらとても効果的なルール「全体から細部へ」なのです。一つのディテールだけにこだわり過ぎないように、私はキャンバスに枠を描いて、1つの枠には5分以上時間を掛けないようにしています。
塗りの時に、参考資料が役に立ちます。今までに収集した個人的なコレクションを使う場合もあります。特に複雑なポーズを描き込む場合には、同僚にポーズを取ってもらったり、自分で鏡の前でポーズを取ってその姿を撮影したりします。ウェブ上で参考になるぴったりのポーズを探して無駄な時間を使うよりもより効果的です。
素晴らしい作品を描くアーティストの絵や映画のスクリーンショットなどを参考にすることもできます。実際にとても役に立つこともあります。今度何か本当に面白い物を見つけたら、そのシーンを写真やスクリーンショットとして保存しておきましょう。もう一つのアドバイス:編集し過ぎの写真を資料として使うことは避けましょう。
キャンバスを左右反転させれば、おかしいところを見つけやすくなります。
7.仕上げ
ついに作品の完成です。最終チェックの結果を待ちましょう。無事に最終チェックを通過すれば、最後の準備をすることになります。例えばキャラクターをゲーム内に実装する前に、できあがったアートワークがゲームのすべての動作要件をクリアしているのか、解析して確認する必要があります。
大きなプロジェクトになるとキャラクターの作成に専門家が2人以上入ることもあります。キャラクターを本当にゲームで輝かせるために、みんなで力を合わせて作業を行っているのです。一体のキャラクターを作り上げるために、ライター、ゲームデザイナー、プロデューサー、アーティスト、その他の専門家が携わっています。このチームワークを成功させる鍵は、キャラクターの開発手順を通じて、一番良い結果を生み出せる着地点をお互いに考えようとする姿勢にあります。
この記事を興味深くお読みいただいて、また皆さんのお役に立てたのなら嬉しく思います。
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